狩猟はハマると楽しいですが、意外と手続きややることが多いですよね。
はじめるまでの、講習会や試験、罠の購入や設置、そして銃の登録など……。
実際にイノシシやシカを獲るまでの道のりが長く、挫折してしまう人も少なくありません。
しかし、ハマる人はとことんのめりこむ、原始的でスリリング、そして実践的な趣味の最たるものともいえます。
そのたのしみをワンランク上げるのが、猟犬を用いた猟です。
今回は、父が猟師で猟犬と18年間暮らしてきた筆者が筆者が、猟犬との生活とやることを具体的にご紹介します。
猟犬が家にくるまで
猟犬は、猟のスタイルによって、選ぶ犬が違います。
イノシシを狩る猟犬とペットの違いって何?獣猟犬と暮らしてみて
鳥なのか、シカなのか、イノシシなのか、はたまた、クマなのか。
獲物にあわせて猟のスタイルが変わるため、犬の用途も威嚇や発見、回収、など変わってきます。
だからこそ、狙う獲物の捕獲率を上げるために、欲しい犬の特性を知った上で犬を選ぶ必要があるのです。
猟犬との出会い方
では、自分の猟のスタイルに合せた猟犬をどうやって入手すればいいのでしょうか。
こちらでは一般的な猟犬の入手ルートをご紹介します。
販売されているものを買う
狩猟用の雑誌や、猟犬専用のHPなどから猟犬を購入が可能です。
海外から輸入されてきた猟に適した犬種が多く、中には血統書のつく犬もいます。
子犬の情報をチェックし、タイミングがあえば購入可能です。
子犬から育てる場合は、自分が訓練をして猟犬としてのノウハウを教えなければいけませんが、費用が抑えられることもあります。
初心者でも、コミュニティで良い犬を持っている人に育て方を教えてもらえる場合などは、子犬から育てる方がコスパはいいかもしれません。
猟犬は、子犬だけではなく、訓練された犬を買う方法もあります。
即実践で使えるのがメリットですが、その分子犬と比べ値は張るのが一般的です。
知り合い経由でもらう
猟友会で一緒に猟をするメンバーに優秀な猟犬がいれば、子犬が産まれるタイミングで譲ってもらうのもひとつの方法です。
いい子犬を譲ってもらえるときは、猟犬は買えば安くないので、心ばかりでも1~2万程度の謝礼を渡した方がよいでしょう。
どうしても受け取ってくれない場合は、肉が取れた時などにおすそ分けをするのもいいかもしれません。
コミュニティでの関りや、猟のスタイルによって、購入した方がいい場合と、仲間内からゆずってもらう方がいい場合があります。
値段(相場)
猟犬の値段は、欲しい犬の種類や実績によってピンキリです。
実績のある血統書付きの輸入犬などはどうしても高くなってしまいます。
訓練された、実績のある成犬では10~100万円程度、
優秀な犬の子犬では、5~50万円程度で取引されます。
成犬は訓練所のあるブリーダーから買うことが多いですが、猟師から直接買う場合もあります。
猟犬を飼うときの準備
猟犬を飼うときには、ペットと同じように処置の必要なことと、猟犬だから必要なことがあります。
ここでは、最初にやること、毎年やることをご紹介します。
病気対策やワクチン
必須なのが年1回の狂犬病予防です。
自治体によって費用は異なりますが、3000円ほどかかります。
犬の飼い主には、
(1) 現在居住している市区町村に飼い犬の登録をすること
(2) 飼い犬に年1回の狂犬病予防注射を受けさせること
(3) 犬の鑑札と注射済票を飼い犬に装着すること
が法律により義務付けられています。生後91日以上の犬には早く予防注射を受けさせ、その後は1年に1回(予防注射接種時期は4~6月)の予防注射で免疫を補強させましょう。
出典:厚生労働省「犬の鑑札、注射済票について」
猟犬に限らず、犬を飼う人は必須で、していない場合は20万円以下の罰金の対象になるのでご注意ください。
そのほか、感染症予防には、任意では混合ワクチンを摂取するのもおすすめです。
野山を駆けまわり、ペットと違う環境で過ごす猟犬には、ダニの予防薬や、4~11月ごろまで月に1度ファラリアの予防薬を使う猟師もすくなくありません。
発信機
犬が何処にいるかを知る発信機も猟犬を買う猟師の必需品です。
猟師端末が10万円、犬の端末が5万円程します。
高価ですが、たとえばDogNavi(ドッグナビ)では、
- 免許・登録不要で使用可能
- GPSと泣き声のわかる一体型
- 5mまでの拡大表示や鳥獣保護区に対応した地図搭載
など、ペットではなく猟犬ならではの使いやすい機能がついています。
ケガ対応の病院を探しておく
猟の最中で優秀な犬がイノシシの牙で切り裂かれ、命の危機にさらされることもあります。
実際に我が家には、お腹を牙で裂かれて腸が1/3程度になった猟犬もいました。
もしもの時に備えて、頼れる獣医のいる病院を探しておくことも、パートナーである犬のために必要です。
猟犬の育て方
猟犬をそだてることは、狩猟の楽しみのひとつでもあります。
自分の猟のスタイルに合わせて相棒を育て、バディとして絆が深まり成果があがると、同じ猟でも喜びは倍になります。
そしてその関係性や成長によって、その年に捕れるイノシシの量がわかりやすく左右されてくるのです。
訓練の仕方
猟犬の育て方は、猟のスタイルにもよります。
一番最初は、飼育しているイノシシと柵越しに会い、吠えて威嚇できるかどうかをみます。
その際、ベテランの猟犬が一緒にいると尚よしです。
(ベテランの猟犬をみて学びます。)
そして、慣れてくると檻の中で「追い」の練習をします。
最初は、飼育されているイノシシで慣らし、実践向けて備えます。
猟犬に必要な訓練とは
ペットのようにお手や待て以外に、猟犬は実践的なスキルが求められます。
たとえば、
- 呼び戻し→遠くに行かない、口笛ですぐに戻ってくるようにしつけられている。
- 知らせる時に一声鳴く→どこにイノシシがいるかがわかるように。
- 足止め→猟師がくるまでイノシシを足止めしておく。
- 追い出し→打ちやすいところまでイノシシを追い出す。
などがあります。
実践の技術以外にも、縄を解いたときに、勝手にどこかへ行ってしまわないよう、飼い主のいうことをきくようにしつけるのも重要です。
実践に出す年齢
実践に出す目安は1歳ごろだといいます。
犬によっては半年ほどで現場に出ることもあるようですが、早すぎると恐怖心がうえつけられて実践に支障をきたす可能性があります。
動きに自信がもてるようになるまで待つのも飼い主のおもいやりのひとつです。
【まとめ】猟犬はペットと違う猟仲間としての絆がうまれる
ペットは家族だとよくいいます。
すこし関係性や目的は違いますが、猟犬も飼い主と同じ目的を共有し、回数を重ねるほど仲間としての絆を深めることができます。
猟期は一年の1/4ですが、その間に毎日散歩をし、コミュニケ―ションをとるのは普通のペットと変わりありません。
そして猟犬との間に、愛情と信頼が積み重なれば、獲れたときの喜びは倍になります。
猟師のしつけや、狩猟の技術などを継承して、親犬と共に子犬を育てたり、猟師仲間で兄妹と猟をしたり、猟犬ならではの楽しみもあります。
命をあずかるので、決して楽で簡単ではないですが、狩猟を極めたいなら猟犬との生活と猟もおすすめです!