猟師歴30年を超える父を持つ、ライターさかもと(@mikimiki060606)です。
猟師を父に持つということは、主に食べられる肉は、ほぼ、イノシシ。
たまに家の前で解体!冷凍庫には常にイノシシでパンパン!
肉を入れるスペースがなくなり、母親と揉めるところも何度も見てきました笑
そんなことが日常だった私が、猟師が悩む解体&保存設備に関してまとめてみます。
猟師の悩みは肉の解体と保存
猟師って、自由でワイルドなイメージですけど、実際は泥臭く、機を待ち、チャンスを逃さず仕留めて…そして実はそこからがめっちゃ大変です。
特に、獲ったら早めに血抜きを開始し、重い獲物を解体するまでに、獲物を担いで山を降り、そこから解体するという仕事が待っています。
そして、設備にもこだわるとどうしてもお金がかかってきます。
肉がたまり過ぎる問題
猟師の切実な問題としてあるのが、肉がたまりすぎる問題。
普通の冷蔵庫では限界があります。
冷凍庫がお肉で一杯になると、冷凍食品も、アイスも入る余地がなくなり、料理をする妻に大きな負担がかかります。
そこで導入するのが、大きい業務用冷蔵庫です。
おすすめ業務用冷蔵庫ベスト3
まず、「猟をしすぎて入れる場所がないな~奥さんにも困るって言われてるし…」位の初心者猟師さんにおすすめしたいのがコチラ。
- アイリスオーヤマ 冷凍庫 100L
IRIS 冷凍庫 ICSD-10A-Wposted with カエレバ
100Lと容量も大きめ、籠がついているので、心臓やタンなどの希少部位を分けて保存することも可能。
縦長のメリットは、冷気が逃げにくく、故に肉が痛みにくいことです。
次に、100Lくらいの冷凍庫がパンパンになったあなたが次に買うべきなのは、こちら。
- アイリスオーヤマ 冷凍庫 上開き 198L
IRIS 上開き式冷凍庫 ICSD-20A-Wposted with カエレバ
容量は最初に紹介した商品の約2倍。
正直、自分が捕るよりももらうことも多い人はこちらもおススメです。
自宅の中には限界が有るサイズなので、購入前には家族に相談し、置く場所を確保してからがおすすめです。
うちの場合土間においてました!
- レマコム 三温度帯冷凍ストッカー 605L
レマコム 三温度帯冷凍ストッカー rrs-605sfposted with カエレバ
最終形態がこちら。
容量なんと605L。
何を入れるんだよ、という声が聞こえてきますが…。
肉!肉をパンパンに詰めるんですよ!
こちらのポイントは、蓋が両開きになっていて、冷気を逃しにくいところにあります。
こんなものなかなか家におけないので、我が家では倉庫に置いていました。
解体場所も千差万別
捕った肉のストックも困りますが、解体する場所や環境も今、見直されています。
ここでは、個人の猟師さんが自分や、自分の家族で食べる場合の解体時に使うアイテムをご紹介します。
最もベーシックな解体台
自作している人も多い解体台。
うちでは、表面がつるつるした水で洗い流しやすい板の台を利用していました。
自分で使うものなので、自作している猟師さんもけっこういます。
作業用コンテナで自由自在!?
独自の解体場を持つ方法として、作業用コンテナを用意することもできます。
コンテナ単体で販売しているところもあるので、比較的手に入りやすい自分の小さな城としてもおすすめです。
狩猟の解体用に、コンテナの中に、照明やエアコンを入れて、排水流し台と屋根のついた土間を提案している「トランスワールドサービス株式会社」もあります。
つりあげて解体するハンター×ハンガー
イノシシや鹿など、大型の獲物でも立木や単管パイプの杭を利用し、滑車でつりあげて解体できるアイテムです。
「創造工房BUC」さんから販売されています。
肉にこだわり、すぐに捌きたい方や、即血抜きをしたい方にはピッタリですね。
耐重量は100キロで、直径20センチ以上ある木を使ってください。
自治体や処理施設に頼るのもアリ
現在は国が鳥獣対策をすすめると同時に、ジビエ利用にも力を入れています。
それゆえ、全国に増えており、ジビエの食肉加工施設の数は600を超えています。
自治体にもよりますが、捕れたあとの処理に困ったら、そういった施設を利用するのも一つの手段です。
身近な解体加工施設を探して、持込などが可能か相談してみてください。
移動する解体所 ジビエカー
施設も増えてきましたが、ジビエカーという、夢のような移動式解体処理車があるのを知っていますか?
猟師が獲って、連絡して、来てもらって、受け渡して、直ちに処理をしてくれる地域に獣肉処理施設のない人や、運搬や解体に課題を抱える猟師の味方のような車です。
そのメリットは
- 肉質の向上
- 衛生的な解体が可能
- 猟師側の運搬解体の悩み解決
- 廃棄率の低減・利用率の向上
など。理想通りに各地で利用がはじまれば、解体処理の問題と、衛生的なジビエの流通問題、両方期待できます。
ジビエカー自体は、2015年に計画がスタートし、日本ジビエ協会と、長野トヨタ自動車(株)で共同開発され、2016年7月末に完成しました。
ジビエカーは食肉加工推進の切り札ともいわれています!
実用は、2016年8月から実証実験されており、現在、運用しているエリアもあります。
移動式解体処理車(ジビエカー)の課題
夢のようなジビエカーですが、実は導入されているエリアは少ないのが現状です。
課題としては、費用と運営の問題があります。
購入費用が大きく、取り入れる時点でハードルが高いのが第一の問題です。
二つ目も金銭的な理由につながりますが、管理維持、人件費がかかる問題です。
飼育と違い、野生生物の捕獲は予想がつきません。
猟期のオフシーズンや、なかなか獲れない時期、獲れても運搬するエリアが遠い、離れすぎているところを行き来する場合などが課題となっているようです。
ジビエをおいしくいただくために
猟師は、獲って終わりではありません。
肉の運搬、解体処理、そしておいしくいただくまでがセットです。
今は政府も取り組んで、今よりも獲物を仕留め、ジビエをうまく流通させることに試行錯誤しています。
猟師の食卓も、未来のジビエも、ずっとおいしくいただけるよう仕組みや設備を今後もっと充実させていきたいですね。