こんにちは!
鹿肉専門のキッチンカーを運営している、あかりんご(@akaringo252588)です!
熟成って、最近よく聞く言葉ですよね。
熟成肉をはじめとし、熟成焼き芋、熟成キムチ、熟成ソーセージ。
商品名やキャッチコピーとしてよく出てくる「熟成」ですが…。
実際、熟成とはどういう意味なのでしょうか?
そこで今回は、熟成とその原理についてご紹介します!
- 熟成の仕組み
- なぜ熟成は赤身だけ?
- 2種類の熟成方法
- 家でも熟成はできるの?
熟成ブームとそのきっかけ
熟成という言葉は、ここ10年ほどで言われるようになった言葉です。
2009年に「日本ドライエイジング普及協会」が誕生し、ニューヨークで確立された熟成の技術が日本に導入されました。
今では熟成ステーキ、熟成焼肉など商品名だけでなく店名にも使われるほど、浸透した言葉になりました。
今や熟成という言葉を知らない人はいないでしょう。
熟成とは何なのか?
「熟成」を検索してみると、次のような結果が出てきます。
熟成とは
日本大百科全書(ニッポニカ)より一部引用
自然に含まれる酵素、あるいは細菌の酵素などを利用して、食品にうま味や風味を出す、柔らかくするなど、品質を向上させるための工程をいう。
つまりお肉であれば、お肉そのものに含まれている酵素の働きで、お肉がより美味しくなる工程のことを指します。
たとえば、より柔らかくなる、より味に深みが出る、より風味が良くなる…などです。
それでは、どういった酵素の働きにより、お肉の熟成は進行するのでしょうか?
詳しく見ていきましょう。
熟成とはタンパク質分解のこと
熟成を語る上で知らなければいけないのは、死後硬直です。
刑事ドラマとかでよく耳にする、あれですね!
死後硬直とはその名の通り、動物の死後に起こる筋肉の硬直です。
死んだ直後の動物の筋肉はとても柔らかいのですが、しばらくするとガチガチに固まってしまいます。
このままでは硬くて水分量も少ない、美味しくないお肉です。
この状態から、ジューシーで香ばしいお肉にするための工程が熟成なのです。
死後硬直を解く工程が、熟成
筋肉の中には、たくさんの酵素(コウソ)が存在します。
これは死後の筋肉においても、同じことです。
酵素とは体全体にあるタンパク質の一種で、体の中で起こっている様々な反応に関係しています。
タンパク質やエネルギーを作ったり、それを分解したりといった反応には、必ずと言っていいほど酵素が関係しているのです。
熟成に関わる酵素の例として挙げられるのは…
筋肉を分解するという反応を担っている酵素です。
この酵素はガチガチに固まった筋繊維をプチプチと切断していきます。
筋繊維が切れると、お肉はどんどん柔らかくなります。
例えば、ピーンと張った糸をプチンと切ると、糸がブランと垂れて宙ぶらりんになるのと同じでしょうか。
筋肉がほぐれた状態になると、加熱しても硬くなりにくいのです。
熟成でお肉は柔らかくなる!
実は、熟成の効果はもう一つあります。
柔らかさだけでなく、お肉の風味も良くなっていくのです。
筋肉が分解されるということは、筋肉をつくっているタンパク質を分解するということです。
そしてタンパク質を分解するということは、その構成成分であるペプチドやアミノ酸ができるということでもあります。
熟成期間中に発生するペプチドやアミノ酸は、風味を良くしたりお肉をまろやかにする効果があります。
なんだかお腹が減ってきた…
【豆知識】実は全ての肉は熟成されている
熟成の仕組みについて説明しましたが、実はスーパーなどで売っているほとんどのお肉は熟成という工程を経ています。
そうでなければ、ガチガチでパサパサのお肉になるからです。
日本では熟成という言葉の定義があいまいで、一般的に行われている熟成に比べてこだわった熟成をした肉を熟成肉と言ったりします。
科学的な熟成と、商業的な熟成では少し意味合いが違うのです。
熟成肉は家でもできる?
熟成がそんな美味しいなら、家でもできる…!?と思った方もいるのではないでしょうか?
結論から言うと、お家での熟成はおすすめしません。
熟成の原理的には、低い温度でお肉を保ちつつ水分を抜くことで熟成は可能です。
ですが一方で、食中毒菌がお肉の表面で増殖する可能性もあります。
一般的に販売される熟成肉はそうして食べられなくなった表面が除去されて販売されますが、それを自己判断で行うと食中毒のリスクがあります。
つまり熟成と腐敗は紙一重であり、お家でやるには少々ハードルが高いように思います。
専門の設備を使って熟成されたお肉はネットで販売されているので、熟成肉に興味のある方は調べてみてはいかがでしょうか?
さいごに
いかがでしたか?
今回は、熟成肉についてお話ししました。
これは大学の先生から聞いた話ですが、熟成というはもともと科学的な用語で、世に広まったのはバイヤーが売り文句として使い始めたからだといいます。
ただ確かに、熟成という言葉の響きは、果実が熟れて美味しくなるようなイメージと連想でき、いかにも美味しそうです。
熟成肉が美味しいというのはもちろんですが、そういった販売戦略として科学的な用語を使ってみるのも、ジビエを伝える上では大切なのかもしれませんね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!