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鹿は夏にも樹皮を剥ぐ!?食糧不足だけではない樹皮剥ぎの理由とは

こんにちは!

鹿に特化したライター、あかりんご(@akairingo252588)です!

皆さん、木の周りに樹皮があるのはご存知ですか?

そうそう、あのゴワゴワした皮です。

実は、鹿がこの樹皮を剥がして食べることが分かっています。

見るからに食べにくそうなこの樹皮を丁寧に剥がして食べる。

その理由は食糧不足しかない!と思われていましたが…

ですが、実は食糧不足だけではなく、鹿が樹皮を食べる理由は他にもあると考えられています。

そこで今回は鹿の樹皮を食べる理由について見ていきましょう!

鹿は木の樹皮を剥がして食べる

鹿による樹皮剥ぎは2種類に分けられます。

一つ目は、角を研ぐための樹皮剥ぎ。

そして二つ目は食べるための樹皮剥ぎです。

角研ぎは、主に秋の繁殖期に見られます。

メスを巡って争う時に角を鋭く研ぐため、木の樹皮に擦り付けるのです。

何度も硬い角で擦られた木の樹皮には傷がつき、一部が剥がれてしまいます。

また、鹿は樹皮を食べるためにも剥がすことがあります。

樹皮を剥がされた木は、鹿の口が届くところまで樹皮が綺麗に剥がされます。

こうした樹皮剥ぎの程度によっては、木が枯れてしまうことも。

これは林業従事者にとって大きな損失になります。

鹿が樹皮を食べる理由は食糧不足

この樹皮剥ぎが起こる理由に、食糧不足によるものがあります。

鹿は草食動物ですが、冬場には雪で草が覆われてしまいます。

また落葉樹は葉を落としてしまうため、鹿が食べる食糧が不足します。

わずかに生える草だけではエネルギーが足りなくなった時、鹿は最終手段として樹皮を剥がして食べるのです。

ちなみに、樹皮を食べることができるのは森林に住む動物の中で鹿だけ

これは、鹿が特別な消化器官を持っているからです。

あかりんご

鹿はそこに生える植生によって胃腸を適応させることができるよ!

柔軟な対応、アッパレ…!

夏にも樹皮剥ぎが見られた!?

この考えでいくと、樹皮剥ぎが発生する時期は冬季に限られるはずです。

なぜなら餌が不足するのは冬だからです。

しかし、ある研究によると鹿の樹皮剥ぎが夏季に見られる地域もあるといいます。

これは三重県と奈良県の間に位置する大台ヶ原で行われた研究です。

この報告から、餌が多い夏に樹皮剥ぎが起こっていることが分かります。

そしてこれは、鹿が樹皮を剥ぐ理由が食糧不足だけではないのではないかということを示しているのです。

夏に樹皮剥ぎが起こる2つの仮説

それでは、鹿が樹皮を剥ぐ理由とは何でしょうか?

その理由を示す2つの仮説があります。

  1. 胃の中の異常発酵を防ぐため。
  2. ミネラルバランスを保つため。

それぞれについて、詳しく説明していきましょう。

仮説1:胃の中の異常発酵を防ぐため

夏の樹皮剥ぎが報告された大台ヶ原の鹿は、ミヤコザサというササを主食としています。

このササは夏季に栄養価が最も高くなります。

栄養価が高いということは、鹿の胃のなかでよく発酵するということです。

しかし異常に発酵しすぎてしまうことでお腹を壊してしまうこともあります。

これを防止するため樹皮を食べているのではないかという説です。

分かりやすく人間で例えると
毎日栄養価の高いお肉を食べていては胃腸が疲れるので間にサラダを挟んで食物繊維を摂る…
といった具合でしょうか。

仮説2:ミネラルバランスを保つため

ミヤコザサは、夏季になると栄養価が高くなるものの、ミネラルのバランスが悪いとされています。

よってそれを補うために、樹皮を食べているのではないかとする説です。

樹皮に含まれるミネラルの趣向性に関する調査はエゾジカを使って行われた事例があります。

そこでは、カルシウムやカリウムを多く含む樹皮がより鹿に好まれたという研究結果が出ています。

あかりんご

この二つの仮説に共通しているのは、ミヤコザサの季節による栄養価の変化に関係しているということだよね!

だから鹿は「食べ合わせ」として樹皮を用いている可能性があるよね。

まだまだ仮説の域を出ないけど、鹿の食性の広さが分かる良い例だね!

ついに鹿もグルメの時代

今回の記事では、夏にも鹿の樹皮剥ぎが見られたことをお話ししました。

樹皮剥ぎは冬の食糧不足という条件下のみで起こる。

こう考えられていた定説が裏返る研究でしたね。

そしてその理由として、食べ合わせのため、または整腸剤としての樹皮剥ぎが行われている可能性についてお話ししました。

青々と茂った葉っぱや木の実、里に降りれば人間が残して捨てた農作物、森林には樹皮…

鹿の気持ちになってみると、意外と食べるものは選べるのかもしれません。

ついに鹿もグルメの時代に突入か…!?

実際のところはどうなのか、鹿に聞いてみなければ分かりませんが(笑)

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

この記事のまとめ
  • 樹皮剥ぎは、冬に鹿が食糧不足を回避するための最終手段。
  • 大台ヶ原の鹿はミヤコザサを主食としているが、夏に樹皮も食べる。
  • 大台ヶ原の鹿はササの食べ合わせとして樹皮を食べている可能性がある。
ABOUT ME
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あかりんご
神戸大学農学部4回生。休学中。大学から畜産の勉強を始めるも、畜産の諸問題に直面し、日本で持続可能な「かっこいいお肉」を探し求め、鹿肉に出会う。日本の森で生まれ育った鹿を「和鹿」と名付け、鹿肉の利用率100%を目指し奮闘中。和鹿推進サークル み じ か 代表。