こんにちは!
神戸大学でニホンジカの有効活用をするサークルを立ち上げた、あかりんご(@akaringo252588)です!
現在日本では鹿の増えすぎが問題となっています。
ただ、これは日本に限ったことではありません。
実はヨーロッパでも鹿の増えすぎが社会問題となっているのです。
そして狩猟大国と言われるヨーロッパでも獣害は深刻です。
ただ、ヨーロッパでは獣害=餌付けと考えることもできるんです。
今回は、そんなヨーロッパの獣害についてお話しします!
林業地や牧草地で獣害が起きている
獣害とは、野生動物に食べられることで農作物に被害が出ることです。
そしてヨーロッパでも、獣害は発生しています。
例えば…
- 樹皮剥ぎ
- 幼樹の食害
林業に関わる害獣には、このようなものがあります。
まず樹皮剥ぎとは、その名の通り鹿などが樹皮を剥ぐことを言います。
これはオスの鹿が角を研ぐ時に木に擦り付けたり、冬の食糧不足の時に鹿が樹皮を食べることで起こります。
樹皮を剥がれた木は病気にかかったり枯れてしまうものも…。
商品として販売できなくなれば林業に大きな支障が出てしまいます。
また樹皮剥ぎのようにある程度大きくなった木以外にも、食害を受けるものがあります。
それは植えられたばかりの若い幼樹です。
幼樹の葉っぱは柔らかく、鹿はこの幼樹の葉を食べてしまいます。
木にはその場所からどんどん成長する成長点という場所があり、そこを食べられてしまうと成長障害が起こります。
林業には切っては植えて育てるというサイクルがあるんだ!
これが崩れると、かなり痛手だよね…。
また牧草地が獣害を受けることもあります。
本来であれば、牛などに与えるはずの牧草。
それが鹿に食べられてしまうのです。
この食害は牧草の一番草が春に芽吹く春に生じます。
鹿は春に出産するため、栄養価の高い一番草を食べるために牧草地へ来るのでしょう。
獣害=餌付けという超プラス思考
実はヨーロッパでは獣害が必ずしも害ではないという認識があります。
その理由は、林業家や農家が持っている、ある権利にあります。
それが…狩猟権です。
土地所有者が持つ狩猟権
狩猟権とは、猟場の土地所有者に与えられている権利です。
これはヨーロッパにある多くの国で実施される制度。
つまり土地を持っている人が獲物を所有しており、それを狩猟する権利を販売できるのです。
狩猟権は入山料などよってハンターから支払われます。
その額はドイツで600円、スウェーデンで3000円くらいになっているそう。
獲るか?売るか?獣害を受けた時の二択
獣害が起きた時、土地の所有者には2つの選択肢があります。
一つ目は、自分の手で駆除すること。
これにより被害をすぐに食い止めることができます。
二つ目は、狩猟権を販売すること。
すぐには駆除せずに、ハンターに狩猟を行ってもらうのです。
この場合は猟期まで待つ必要があります。
え?両方の選択肢を選ぶことはできないの?
両方の選択肢を選ぶことはできます。
ですがヨーロッパでは狩猟期に獲ってもよいとされている鹿の捕獲数が決まっています。
よって獣害を食い止めるために鹿を獲りすぎてしまうと、猟期に販売できる狩猟権の枠が少なくなってしまうのです。
今すぐ駆除して獣害を食い止めるか…
猟期まで待って狩猟権を売るか…
どちらを選ぶかは土地所有者の裁量です。
獣害により獲物が増える
獣害は人間にとって非常に憤りを感じるものです。
ですが、裏を返せば獣害を起こした動物はお腹がいっぱいになります。
よって栄養状態が良くなり、繁殖率が高まります。
これにより、結果的に動物は増えることが予想されるのです。
動物が増えれば、狩猟の成功率も上がります。
よって、狩猟権の売れ行きが良くなるのです。
また、土地の所有者は獲物をジビエとして販売することもできます。
つまり獣害はジビエや狩猟権販売のための投資とも言えます。
こうして考えれば、獣害=餌付けだという感覚もあるのではないでしょうか?
ジビエによって獣害が緩和されるヨーロッパ
ヨーロッパでは、狩猟権という制度によってジビエが獣害を緩和していることが分かりました。
日本では獣害が完全に農家さんの負担になっています。
ですが獣害が未来への投資だと捉えるヨーロッパの考え方は、日本とは違い新鮮ですよね。
日本では獲物の所有者が農家さんではないので、獣害とジビエが結びつきにくいのが現実です。
ですが、日本でもこうした考え方を持ち連携して狩猟に取り組めたらいいですね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
- ヨーロッパには狩猟権という制度がある。
- 土地の所有者は猟師に狩猟権を販売することで収入を得る。
- 土地所有者はそこで獣害が起きても狩猟権販売が可能。