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ジビエの生食はキケン!加熱して寄生虫やE型肝炎のリスクを避けよう

最近では、ドラマに登場したり、様々なイベントでも料理が味わえるなど、おいしいちょっと特別な食材としてジビエが脚光を浴びています。

ジビエーる執筆者として、嬉しいことですが、

そんな風に、ジビエが随分身近になったおかげで、安心感や警戒心が薄れている人もいるのではないでしょうか?

日本では、2019年現在までに、ジビエでの感染症事例が198人1人の死者がでています。

ジビエの刺身や内臓の生食で、最悪の場合、命の危機を招いてしまうのです。

今回はそんな、ジビエの生食リスクについて詳しく説明していきます。

ジビエの生食で起こりうる2つのリスク

ジビエの生食で起こりうるリスクはいくつかありますが、特に注意喚起されているのが、寄生虫E型肝炎ウイルスです。

寄生虫 

野生の動物には、寄生虫がいる可能性があります。

代表的な寄生虫は、旋毛虫(せんもうちゅう)といい、イノシシやクマの筋肉組織内にいる寄生虫です。

国内では、1981年に冷凍したツキノワグマの刺身で172人が旋毛虫症を発症した事例があります。

その他にも、明確なデータはありませんが、人間に管理されていない野生動物は、住んでいるエリアや食べるものによってもっている寄生虫の種類が変わるといわれています。

E型肝炎ウイルスや腸管出血性大腸菌

シカなど野生動物からウイルス感染することのあるE型肝炎

日本では、2003年にシカ肉を生で食べた4名が食後6~7週間してE型肝炎を発症しています。

最近おきた死亡例は、野生動物の生食ではなく、血液製剤からの発症ですが、E型肝炎を患った人が複合的な要因により症状が劇症化して、死に至りました。

免疫力が低下している高齢者妊婦がE型肝炎になった場合は死に至る可能性が高くなるという報告もあるので、しっかり過熱していない肉は避けるべきです。

ベテラン猟師さんたちの中には、過去の経験からシカ刺しなどを食べた人もいるかもしれません。

しかし、ジビエ生食はリスクがあり、症状が出なかったのはたまたま運がよかったからといえます。

ジビエの生食で出る症状

では、実際にジビエでの感染症はどんな症状がでるのでしょうか。

E型肝炎の症状

国内で、ジビエによるE型肝炎になった人は7名です。

E型肝炎は、感染しても症状が出ることは少なく、発症する人でも食べてすぐに症状が出るわけではなく、平均6週間程の潜伏期があるとされています。

中には6週間たたずに倦怠感食欲不振等の症状が出る人もいますが、基本的には潜伏期間を経て身体に異変が起こります。

E型肝炎発症後の主な症状は、

  • 発熱
  • 悪心・腹痛等の消化器症状
  • 肝腫大
  • 肝機能の悪化(トランスアミナーゼ上昇・黄疸)

で、大半はきちんと安静にし、休むことで治ります。

妊娠後期や、中高年が重症化しやすいので、ベテランハンターさんたちも注意が必要です。

妊娠の可能性がある女性は絶対にジビエの生食は避けましょう。

旋毛虫症の症状

国内では172人が感染した記録があります。

ただ、旋毛虫症も多くの患者では症状が見られません。

感染には2段階あり、症状が出る場合、第一段階では、食べた1~2日後に腸の感染症が起こり、

  • 吐き気
  • 下痢
  • 下腹部痙攣
  • 微熱

が見られます。

第二段階では、約1~2週間後に、

  • 筋肉痛
  • 筋肉の圧痛
  • 筋力低下
  • 発熱
  • 頭痛
  • 目のまわりの顔のむくみ

が見られます。

この第二段階は幼虫が筋肉に侵入することから起こるようです。ゾッとしますね。

旋毛虫症の症状は、侵入した幼虫の数、侵入した部位、本人の健康状態によって変わってきます。

幼虫の数が多い場合、心臓や脳、肺にも炎症が起こり、その結果、心不全、不整脈、けいれん発作、重い呼吸障害が起こり、まれに死亡することもあるようです。

旋毛虫の症状は、治療しなくても感染後3カ月までにほとんど消えますが、異常が長く続く場合や、不安な場合は様子を見て病院に行きましょう。

また、症状がおさまっても漠然とした筋肉痛と疲労が残ることがあるようです。

ジビエの生食、一度冷凍すれば大丈夫?

魚などでは、寄生虫は冷凍すれば死ぬという認識があるのではないでしょうか。

しかし、ウィルスは冷凍しても死滅しません。

そのため、野生でいろいろなものをたべ、生きているイノシシやシカ、クマはきちんと加熱し、火を通して食べる必要があります。

致死率はマダニなどに比べそれほど高くないですが、中高年、高齢者、妊婦は絶対に避けるようにしてください。

ジビエの生食のメニューはどんなもの?

ジビエの生食、これは地域や猟師によって身近だったり、なかったりするのではないでしょうか。

筆者は30年以上、シカやイノシシ、ウサギ、キジ、カモなど様々な野生生物を食してきましたが、それらを生で食べる機会はありませんでした。

今回調べていく中では、

  • シカ刺し
  • シカ刺しのたたき
  • シカの琉球(醤油など調味料に漬けたもの)
  • クマの刺身

などのラインナップが見受けられました。

基本的には、シカの生食が多いようです。

感染症例も、多くがシカ肉からの発症でした。

ジビエの生ハムは自己責任で!

ジビエは生が危険といいながら、ジビエの生ハムはけっこう流通しています。

感染症のリスクがあると言われるジビエ、なぜ生ハムは「生」なのに大丈夫な扱いなのでしょうか。

調べてみると、生ハムをつくる過程にポイントがありました。

注目すべきは、

  • 塩漬け
  • 燻製

の過程です。

まず、塩漬けでは、水分がぬけることにより、細菌などの膜が破壊され、微生物の活性化を防ぎます。

次に、肉を温燻で燻煙で燻します。

燻煙には、殺菌、防腐効果があり、水分を更に絞ることで腐敗を防ぎ、長期保存が可能になるのです。

燻製や生ハムは昔から行われており、保存食にするための知恵が詰まっています。

とはいえ、野生生物の肉なので、あくまでも自己責任で味わうようにしましょう。

ちなみに、筆者はよくイノシシブロック肉の燻製肉を作りますが、必ず火を通して食しています。(めちゃくちゃおいしいですw)

ジビエの生食はキケン!よく加熱して味わって

ジビエは、豚や鳥、牛肉にない魅力が味わえるニッチな食材だからこそ、たのしむための食べ方は様々です。

馬刺しやかつてのユッケが大好きだという人もいるように、ジビエを生で食した人もいるかもしれません。

しかし、現在では厚生労働省からそのリスクを喚起されています。

ジビエ肉がより一般の方に楽しんでもらうために、こうした安全管理の徹底、衛生管理の徹底は必須だと思います。

おいしくジビエをたのしむためにも、きちんと火の通ったおいしいお肉を味わってくださいね。

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さかもとみき
猟師の父を持ち、主に猪肉で育った野生児系ライター。