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ジビエの世界

ジビエ肉(鹿、イノシシ)と家畜肉(牛、豚)の栄養価を比較してみた!

こんにちは!


神戸大学で畜産を学んでいる傍ら、ジビエに興味があり、サークルまで立ち上げてしまった、あかりんごです。

今回は、ジビエ肉の栄養価は牛肉や豚肉とどのように異なるのかについて紹介したいと思います。

また、最後にはジビエ肉のメリットを最大限活かすための食べ方も紹介しますので、健康食としてジビエを取り入れたいと考えていらっしゃる方は是非参考にしてみてください。

ジビエとは?

ジビエとは、狩猟で得た天然の野生動物の食肉を意味するフランス語です。

その昔、ヨーロッパでは領地を持っている上流階級の貴族のみが狩猟をすることができました。そこで獲れたお肉が、フランス料理における最高級食材として調理されたのです。

狩猟対象となった動物はシカやイノシシだけでなく真鴨や山鳩、アナグマなど様々です。

山野で走り回った天然のジビエは引き締まっていて栄養価も高く、森からの素敵な贈り物と言えるでしょう。

ジビエという言葉には、動物の命を頂く代わりに全ての部位を余すことなく料理に使い生命に感謝を捧げようという考え方が込められています。

そこで、ジビエーるでは肉や内臓だけでなく毛皮や角、骨に至る全ての部位を有効活用したいという思いから、ジビエを野生動物そのものとして捉えています。

今ではあまり馴染みのないジビエですが、日本では昔からイノシシやシカの肉は食べられてきました。

肉食を禁忌としていた時代が長く続いた中で、これらはシカ肉ならば「もみじ」、イノシシ肉ならば「ぼたん」という隠語を用いて取引されていたのです。

我々がお肉に対して抱く羨望は今も昔も変わらないのかもしれませんね。

その後食肉禁忌が解除され、本格的なジビエ文化が1990年代に日本へ入ってきました。

今ではフランス料理だけでなく焼肉屋や酒場など、様々なシーンでジビエが提供されています。そういった意味では、ジビエは日本人にとって古くて新しい文化と言えます。

今回はそんなジビエの中でもイノシシとシカの肉の成分について取り上げたいと思います。まずは、一般的なイメージについて見ていきましょう。

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ジビエ肉ってどんなイメージ?

ジビエ肉の風味は臭い、硬いというイメージがあるようです。

今では環境が大きく変わり始めていて、臭いのキツいジビエは少なくなってきていると言われています。

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逆に、ヘルシー鉄分が多く健康に良さそうといったプラスイメージも見られます。

よってジビエ肉は牛肉よりもクセがあるが、栄養価が高いのではといった印象を持っている人が多いのではないでしょうか。

そこで今回はジビエ肉の栄養価について見ていきます。

比較するのは食べるために育てられた家畜の肉。

食性が似ているシカと牛、イノシシと豚で比較してみましょう。

ジビエ肉の栄養価は?

出典:文部科学省「日本食品標準成分表2015年版」

まずはシカ肉から見ていきましょう。

シカ肉と牛肉を比較した際、大きな違いが見られた項目は3つです。

①シカ肉の脂質は牛肉の1/5

和牛の代名詞とも言える霜降り。

こういった和牛のように、肉がとろけるような濃厚な食感は筋肉の中の脂肪が深く関わっています。

シカ肉は脂肪が少ないためカロリーは牛肉の半分以下です。

その脂肪量は鶏のささみにも匹敵する程。

霜降り肉を食べたら胃がもたれる…という方でもサッパリとヘルシーに食べられます。

② タンパク質は1.3倍

タンパク質とは筋肉や髪などを構成する成分で、体内ではアミノ酸として細胞の基本成分となる3大栄養素の一つです。

また食べ物から摂取する必要がある必須アミノ酸と呼びますが、その必須アミノ酸の合成バランスが優れているのも肉の特徴です。

よって、シカ肉には比較的多くの良質なタンパク質が含まれていると言えるでしょう。

近年、筋トレがブームになっていたり、アスリートの食事にジビエ肉を使うことが検討されていたりと、実は高機能食材として注目を集めています。

③ 鉄分が豊富

しかも鉄分は他の肉と比べても格段に高くなっています。

加えてこの鉄分はヘム鉄といって、人間の体内と同じ構造をしており吸収率が良いと考えられています。

吸収された鉄分はヘモグロビンとなって酸素の輸送に関与したり、筋肉中に酸素を貯蓄するミオグロビンの原料となります。

また、鉄分は細胞内のミトコンドリアという器官で行われるエネルギー生産にも関わっています。

よって鉄分が不足すると体が重くなったり息が切れる、疲れやすい、肌や爪の状態が悪化するといった貧血症状が現れることもあります。

ダイエットで糖質制限をしていたり、鶏ささみを主に食べている方、毎月月経のある女性は鉄分が不足しやすいと言われています。

なので今このような貧血症状で悩んでいる方は、普段食べているお肉をジビエ肉に置き換えてのも良いかもしれません。

イノシシ肉と豚肉の比較

続いてイノシシ肉と豚肉を比べてみましょう。

出典:文部科学省「日本食品標準成分表2015年版」

カロリーや脂質については、イノシシ肉は豚肉と差はほとんどありません。

しかし、イノシシ肉の鉄分やビタミンB12はそれぞれ豚肉の3倍以上です。

シカ肉と同様に、イノシシ肉には鉄分が豊富というのが共通していますね。

なぜジビエ肉には鉄分が多い?

それでは、なぜここまでの栄養価の差ができるのでしょうか。

その理由の一つとして、野生動物の生態が挙げられます。

野山を駆け巡った野生動物は、その運動量から脂肪が少なく筋肉が発達しています。

その筋肉の発達に伴い鉄分量が増加しているのではないかと考えられます。

こういった特徴が、家畜とは違った魅力となっているのです。

ジビエ肉を食べるメリット・デメリット

それでは、ジビエ肉を食べることでどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

まずはメリットから見ていきましょう。

ジビエ肉を食べるメリット

ジビエ肉のメリット
  • 低カロリーでさっぱり食べられる
  • 高タンパク
  • 鉄分豊富

近年の健康志向が高まり、ジビエは低カロリーで高栄養価の食材としてダイエットや介護職としても消費の拡大が期待されています。

また、ジビエ肉は育ち盛りの子供にもぴったりな食材。

和歌山県や奈良県ではスープやカレーとしてジビエを給食に取り入れている地域も見られます。

では次にデメリットを見ていきましょう。

ジビエ肉を食べるデメリット

ジビエ肉のデメリット
  • 牛肉や豚肉よりも高価
  • 手に入りにくい
  • 火入れをしすぎると硬くなるなど調理が難しい

このように、牛肉や豚肉と比べると流通量も少なく手に入りにくいというのが現状です。

主な流通方法は通販ですが、ジビエ肉はその希少性から単価も高く冷凍便のため送料も高くかかってしまいます。(サプライチェーンの構築ができれば解決するかも。)

また鹿肉の火入れはしっかりと行うべきですが、その火加減はプロの料理人でさえ難しいと言います。

私も鹿肉を焼きすぎて硬くなってしまい、噛んでも噛んでも噛みきれないという経験があります。

しかし、ひとたび調理方法を会得し、美味しい料理を作ることができれば、こんなにも面白い食材はないとも言われています。

栄養を最大限活かす食べ方とは?

シカ肉最大の特徴とも言える豊富な鉄分。

では、それを活かすにはどのような食べ方をすれば良いのでしょうか?

鉄分の吸収を促すには、ビタミンCを一緒に摂ると効果的と言われています。

ビタミンCはジャガイモやサツマイモ、サラダや果物に多く含まれています。

ジビエ料理の付け合わせとしてポテトサラダを添えたり、レモンを絞って食べても良いですね。

貧血が気になる方は造血成分とも呼ばれるビタミンB12(納豆など)、イワシや卵黄に多く含まれるビタミンB6などと一緒に摂るのもおすすめです。

またコーヒーや緑茶などに含まれるタンニンや食物繊維は鉄分の吸収を妨げる働きがあります。

食後すぐはこれらの食品の摂取を控えた方がよいでしょう。

身の引き締まったジビエ肉は、栄養価だけでなく噛み締めるたびに溢れてくる旨味があります。

近年では、ジビエブームということもあり、各地で様々なジビエ料理店が見られます。

敷居の高い、フランス料理だけでなく、カジュアルな雰囲気のジビエ料理店なら初めてでもハードルは低いのではないでしょうか。

ヘルシーなランチとしても良し、赤ワインと一緒にディナーで楽しむも良し。

是非、この機会にジビエレストランへ足を運んだり、ジビエ肉を買って調理してみてはいかがでしょうか?

ABOUT ME
あかりんご
鹿肉専門のキッチンカーSHIKASHIKA店長。神戸大学で畜産を学び牛飼いを志すも「日本で持続可能な肉とは?」という問いをきっかけに、鹿肉と出会う。鹿肉を日本の肉文化に、をビジョンに掲げ、美味しい鹿肉料理を日々提供していたが、より美味しい鹿肉を求めて現在は北海道で鹿を捌いている。