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ジビエの利用

獣臭がきつい!においのあるイノシシ肉を美味しくいただく調理法

獣くさそうと敬遠されることもあるジビエですが、そこが醍醐味だと好んで食べる人もいます。

近年ではその独特の肉の味が料理のアクセントにもなると、レストランのディナーや創作料理などで新しい食べ方や変わったメニューでジビエを味わえる機会が増えました。

ただ、「けものくさそう」「くさい」などというイメージがぬけない人もいるのではないでしょうか。

実際、くさい肉はです。

今回は「ジビエのくさみ」を少し深堀りし、それに向けた対策や味付けの提案などのご紹介します。

ジビエは獣くささが醍醐味でもあるけど…

獣くささが特徴のジビエですが、ジビエ独特の風味の獣くささほんとうに臭い肉は別です。

しかし、ジビエを食べる機会が少ない人や、ジビエに慣れていない人には解りません。

ジビエ初体験で「くさい悪い肉」にあたってしまえば「くさいから食べたくない」という印象がついてしまいます。

獣臭がきついジビエは存在する

ジビエに慣れている人でも、本当にくさい肉は食べられません。

獣くささが濃くなってしまっているジビエには、こんな理由があります。

血抜き処理が適切にできなかった

罠にかかったイノシシ

一番の原因はこれです。

たとえば罠にかかった獣が死んでいた、解体までに血抜きできずに時間がかかってしまった。

または罠にかかって傷ついた部位がある肉などは肉の状態が悪くなっています。

獲物を仕留めると全身に酸素がいきわたらなくなり、できるだけ早く適切な処理をしないと臭い肉となってしまうのです。猟師にもらった肉などで臭みがあるときはこういった原因が考えられます。

性別や捕獲時期によっても味が違う

野生動物は、季節によって山にある資源を食べて生活します。

よって、夏と冬では食べるものが違ってきます。

そして野生動物の生態によって、脂乗りも夏と冬ではかなり変わってきます。

それに加えて、オスメス、メスの中でも産前産後で微妙に味が変わってきます。

風味がかかわったり、脂のりが違っていたりするのも野生のジビエならではのおもしろいところです。

美味しいお肉を選ぶためには?

美味しいジビエを食べたいなら、地元のジビエ処理施設で解体・処理されているものを選ぶようにしましょう。

特に、国産ジビエ認証を取得しているジビエ処理施設はより安心して購入できます。

理由は、お肉を販売する許可はもちろん、衛生管理ガイドラインを遵守していることやトレーサビリティを取り入れていることを審査員がチェック済みであるからです。

国産ジビエ認証のマーク

ジビエの獣くささが苦手な人へ

臭い肉ではなく、ここでは、「なんとなくジビエが苦手」だという人におすすめの食べ方をご紹介します。

おすすめ調理法
  • 燻製で風味を変える
  • 薄切りにする
  • チャーシューにする
  • 香辛料で味付け
  • ミンチ肉に加工

燻製で風味を変える

一番のおすすめは燻製です。

下味をつけ燻すので、味も香りも際立ち、かつジビエの奥深い味が堪能できる食べ方です。

薄く切ってカレーやシチューに

噛み締めるほどに野生の味を感じるジビエですが、その感じが苦手であれば薄くスライスされたものを選ぶのがおすすめです。

肉をカレーやシチューのルーがコーティングしてくれるので、ジビエ肉であるという存在感は薄まりますが、食べやすくなります。

たれのうまみ優先のチャーシュー

燻製がめんどくさいという人にはチャーシューもおすすめです。

イノシシの脂身と相性も抜群で、濃いタレがからみ、肉のよさとタレのうまみがけものくさい主張を抑えてくれます。

香辛料を利用して味の工夫を

鹿肉のスパイスカレー

カレースパイスハーブなどの香辛料を使いくさみを消す料理法もおすすめです。

鍋などジビエの定番メニューとは違う、創作料理でもジビエは美味しくいただけます。

ミンチ加工で料理に活用

地域のジビエ活用で給食に取り入れている自治体などはジビエをミンチにしてあらゆるメニューに活用しています。

ミートソースにしたり、麻婆豆腐などのメニューに活用することで抵抗が減ります。

味付けもしやすく、違和感なく食べるにはミンチもおすすめです。

本当に獣臭がきついジビエの調理工夫

肉をもらったのに、獣くさくて食べられない…そんなこともあります。

ここでは、ジビエを30年以上食べてきた筆者と、猟師歴30年以上ある父親がしている獣くさい肉への工夫をまとめます。

肉を半日流水につける

くさい肉は、血抜き段階で失敗し、臭みが肉に回っているのでちょっとやそっとではそのにおいは消えません。

それでも勿体ないと思う場合、塊ではなくスライスしたものを半日流水につけると臭みはとれます。
(※少し塩入れると早くなるようです)

ただ、この方法、くさみもぬけるけれど、イノシシ本来の匂いも味もぬけるので、脂身があってもイノシシの良い部分を味わうのは難しくなります。

醤油&ショウガ&ニンニクダレに一日つけておく

筆者の家では、鹿を食べる時は大体この味付けでした。

臭みを抑え、味つけすることで、獣くささをごまかす食べ方です。

しかし、それでも肉によってくさいものは、くさいままなのであくまでごまかすための手段として念頭に置いてください。

獣臭いにおいが強すぎる場合は犬の餌に

人が食べるのが厳しいくらいくさい肉は犬の餌に利用することもできます。

命をいただくのは大事ですが、無理やり食べてジビエに嫌な印象を持ってしまうくらいであれば、破棄する方が賢明です。

それを食べなくても、地方では美味しいジビエが手に入る環境が整いつつあります。

獣臭い肉にあたったら割り切ることも必要

独特の獣くささはジビエのいい部分です。

イノシシや鹿の野性味ある独特の風味は、料理法や、香辛料の使い方、料理方法でいろいろ楽しむことができます。

しかし、血抜きなどに失敗した獣臭さが肉に染み付いた肉は、どう料理しても美味しく頂くのは難しいです。

そんな時は、無理に食べないようにしましょう。

それよりも、なぜそうなったのか、捕獲状態や、流通経路を知ることで、今後避けたほうがいい肉を知ることにもつながります。

ジビエは、風味豊かで野性味あふれるとても美味しい肉です。

無理をせず、「おいしい」と思えるジビエを選んで食べてくださいね。

ABOUT ME
さかもとみき
猟師の父を持ち、主に猪肉で育った野生児系ライター。