ジビエをもっと、あなたらしく。
ジビエを食べる人、つくる人、届ける人。 すべての人に、エールを。
その他の部位・残渣など

【グリーントライプは栄養の発酵槽】なぜ栄養豊富なの?をやさしく解説

草を食べる鹿

グリーントライプは、犬の健康に多くの利点を提供するスーパーフードとして注目を集めています。特に、消化器系の健康、プロバイオティクス効果、食欲の改善などに高い効果が期待されます。

日本国内では鹿のグリーントライプが市場に出ている場合がほとんどです。牛に穀物をメインとする餌を与えている場合が多いからです。

よって本日は鹿のグリーントライプがなぜ栄養豊富なのかを、鹿など草食動物の生態という観点から紹介したいと思います。

グリーントライプは反芻動物の胃袋のこと

グリーントライプとは、反芻動物(ウシ、ヒツジ、シカなど)の胃袋とその内容物のことを指します。

グリーンは緑、トライプは反芻動物の胃袋という意味です。よって同じ反芻動物でも、青草をメインで食べている動物のものに限られます。

グリーントライプは生タイプや乾燥タイプなどがあり、犬の食事において高い栄養価が特徴です。さらに食いつき改善、整腸作用なども期待でき、幻のペットフードとも呼ばれています。

4つのトライプとその役割

第一胃袋

グリーントライプは、ウシ、ヒツジ、シカ、キリンなどの草食動物が持つ胃袋です。

その特徴として、胃袋は4つに分かれているという点が挙げられます。

草を主食とする彼らは、第一胃、第二胃、第三胃、第四胃のそれぞれの胃袋でじっくり草を発酵させてエネルギーを取り出すのです。

もう少し詳しく、各胃袋の役割を見ていきましょう。

1. 第一胃(ルーメン)

第一胃は最も大きく、反芻動物の左半分のほとんどを占めます。焼肉ではミノと呼ばれるホルモンです。発酵と微生物の活動の中心で、主に発酵を行うための巨大なタンクとして機能します。ルーメン内には数多くの微生物(細菌、原虫、真菌など)が生息しており、これらの微生物がセルロースといった草の繊維質を分解します。微生物による発酵の結果、揮発性脂肪酸(VFA)が生成され、これが反芻動物の主要なエネルギー源となります。また、ルーメン内で増殖した微生物自身も、後にタンパク質源として利用されます。

2. 第二胃

焼肉ではハチノスと呼ばれるホルモンです。反芻のため口へ食物を送り出す際に使われる胃袋です。ハチノスという名の通り内壁が六角形のハニカム構造になっており、反芻の際にかかる胃袋への圧力に耐えるための構造だと考えられます。これにより、食物がより細かくなり、ルーメン内の微生物が効率的に分解できるようになります。

3. 第三胃

焼肉ではセンマイと呼ばれるホルモンです。ここでは残った内容物をさらに細かく分解します。センマイとは「千枚」が由来になっています。 第三胃は千枚ほどある多数の葉状のひだを持っているのが由来です。これはストッパーの役割を果たします。大きい食塊が長く胃袋に留まり、消化を受けやすくしているのです。

4. 第四胃

焼肉ではギアラ、もしくはアカセンマイと呼ばれるホルモンです。実はこの第四胃こそ、本当の胃袋と言えます。つまり他の動物の胃と同様に胃酸と消化酵素が分泌され、食物のタンパク質が分解されるのです。ルーメン内で増殖した微生物もここで分解され、反芻動物にとって貴重なタンパク質源となります。実は第一胃〜第三胃は食道が進化したものだと考えられており、胃という名前はついていますが消化酵素の分泌はありません。

グリーントライプで500kgの身体を作れる

鹿のルーメンを顕微鏡で観察した様子

反芻動物は、ルーメンと呼ばれる胃の中で膨大な数の微生物を飼育しています。ルーメン液1mlには100億個もの微生物が存在すると言われ、その数はまさに天文学的です。鹿は大きいもので120kg、牛は成長すると500kgほどになります。反芻動物が草だけを食べて何百kgもの体重に成長できるのは、この微生物がタンパク源となっているからなのです。

これらの微生物は、反芻動物の代謝タンパク質の75〜80%を供給します。さらに必須アミノ酸全種類、オレイン酸、ビタミンB類を生成しています。つまり、反芻動物は肉を摂取しなくても、ルーメン内で育った微生物を利用して、必要な栄養素を賄っているのです。

このように、グリーントライプには、豊富なタンパク質やアミノ酸が含まれています。これが反芻動物が草だけで巨大な体を作り上げる理由なのです。

グリーントライプがなぜ犬にとって良いのか?

グリーントライプがなぜ犬にとって良いのでしょうか?。

まず、グリーントライプには青草が入っています。これらは腸の中で体積を保ち、犬の腸内環境を整える効果があります。これにより、便の質が改善され、消化不良や下痢の予防にも役立ちます。

さらに、グリーントライプに含まれる微生物由来のタンパク質は、犬の筋肉や組織の成長をサポートし、健康維持に欠かせない栄養素を提供します。また、グリーントライプには必須アミノ酸やビタミンB類なども豊富に含まれており、これらが犬にとってバランスのとれた食事をサポートします。

これらの理由から、グリーントライプは「幻のペットフード」とも呼ばれるほど、犬にとって非常に優れた栄養価と健康効果を持つ食品です。犬の食事にグリーントライプを取り入れることで、自然でバランスの取れた栄養を提供し、愛犬の健康を支えることができるのです。

皆さんもぜひ、試してみてくださいね!

ABOUT ME
あかりんご
鹿肉専門のキッチンカーSHIKASHIKA店長。神戸大学で畜産を学び牛飼いを志すも「日本で持続可能な肉とは?」という問いをきっかけに、鹿肉と出会う。鹿肉を日本の肉文化に、をビジョンに掲げ、美味しい鹿肉料理を日々提供していたが、より美味しい鹿肉を求めて現在は北海道で鹿を捌いている。