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ジビエの仕事

ジビエの闇肉と光肉とは?肉の違いを解説

レストランやイベントでオシャレに展開されているちょっと変わったジビエ料理が脚光をあびるようになり、ネガティブなイメージも多かったジビエの立ち位置がだんだん変わりつつあります。

とはいえジビエ料理は「特別な高級食材」と「猟師がとる獣くさい肉」のイメージが混合しています。

現在、国や自治体によるガイドラインもでき「国産ジビエ認証」が制定され、より安心安全なジビエを飲食店や消費者は選べるようになってきました。

ただ、猟師が獲る肉も、扱い方を間違わなければとても美味しくいただける大事な文化だと思っています。

今回は、文化として根付いている狩猟&ジビエと、安心して食べられるジビエに関して、少し過激な言い方で考察していきます。

「違法ジビエ」とは?ジビエの闇肉と光肉

違法ジビエという言葉きいたことはありますか?

国や自治体がガイドラインを掲げ、ジビエに関するルールを決める中で、長い間グレーゾーンだった、「許可をもたない猟師から買う肉」、違法ジビエに風当たりが強くなっています。

闇肉・闇ジビエとは

闇肉・闇ジビエとよばれるのは、ズバリ、猟師が獲って食肉処理業の許可なく精肉したジビエを指します。

猟師が獲って解体し、精肉した肉は、衛生面や食の安全・安心の面で、非常にリスクが高くなります。

というのも、野生のイノシシや鹿は個体値によって差がある上に、猟師の捌き方にも個人差があるから安全とは言い切れない部分が大きいのです。

このようなお肉のことを、警鐘を鳴らす意味で「闇肉・闇ジビエ」とよばれています。

光肉・光ジビエとは

「光肉・光ジビエ」は闇肉・闇ジビエに対をなす意味で時たま用いられる用語です。

ズバリ、食肉加工施設などで自治体や国のガイドラインに添って搬送、解体、加工されたジビエ肉をさします。

国や自治体が安全で安心できる基準を満たしたもので、飲食店流通などはこちらの光肉が推奨されます。

「違法ジビエ」の定義

違法ジビエは、猟師が獲り、猟師が捌き、猟師が販売する肉のことをいいます。

猟師が確保し、国や自治体のガイドラインによって鳥獣解体施設に運搬・搬送し、そこで解体・精肉され、食品衛生法の許可を取得した業者によって販売されるのが光肉、推奨されるジビエの姿というわけです。

今までは食肉に関してもグレーゾーンだったジビエですが、流通も増え、国や自治体のガイドラインができ、消費者や業者が安心して購入できる指標、「国産ジビエ認証」も推奨されています。

美味しくても注意!闇肉のリスク

闇肉と過激な言い方をしていますが、食べてなんともない、むしろおいしい肉もあります。

正直に言うと、信頼できる猟師の管理する肉は、だいたい美味しいんです。

それ故、見えにくいリスクが存在します。

料理人の法的リスク

お店でジビエ料理を出す場合、

自分で獲った野生鳥獣の肉を店で提供→食品衛生法違反

にあたります。

営業上使用するイノシシ及びシカのとさつ又は解体を行う場合にあっては、糞便や獣毛、血液等による汚染が想定されることから、飲食店営業者等であっても、必要な施設設備等を設置し、飲食店営業等の許可に加えて食肉処理業の許可を受けること。

出典:野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)について

料理人自身が猟師であるなら尚更、解体や加工は施設設備等を通し、飲食店営業等の許可以外にも食肉処理業の許可を受けてはじめて「自分で獲って、自分で捌いて、自分でお店に提供できる」のです。

同時に、

猟師から分けてもらったジビエをお客さんに提供→食品衛生法違反

になります。

ジビエは、野生のイノシシや鹿の個体値の差に加え、捕獲した状況、解体する猟師のうでによって味が全く変わってくるものです。

美味しい肉でも、加工過程が見えない部分が多い肉は安心とは言いきれず、第三者にふるまえるものではありません。

違反者には罰則もふりかかってきます。

現在、全国で600以上の鳥獣加工施設があります。

国や自治体の定めたガイドラインを満たす鳥獣肉加工施設で解体されたものを利用してお客様に提供するようにしましょう。

食べた人のリスク

ジビエの生食には寄生虫E型肝炎ウイルスのリスクがあり、加工処理の仕方や管理に方法によって、食中毒のリスクもあります。

猟師によって捌き方、保存の仕方、処理の仕方に個人差があり、そこを見ることができないのが「闇肉」です。

小さいころから猟師の狩りから解体までの流れを見ている私も、正直自分の親以外が捌いたイノシシは不安で食べたくありません。

今は国産ジビエ認証など解りやすいおすみつきをもらったジビエが流通しています。
安心安全なジビエを選び、美味しくいただいてもらいたいです。

これからジビエを扱う人へ

猟師が知り合いで、その人がどんなに信頼できる人でも、食中毒などが出れば、罰せられるのは料理人になります。

一度信用を失うと、飲食店などはダメージも大きいはずです。

違法ジビエを手にしないためにも

  • 食肉処理業
  • 食肉販売業

この2つの許可の有無を必ず確認してジビエを仕入れることにしましょう。

消費者が安心して食べられるジビエの仕入先

ネット通販や、道の駅、スーパー、大手チェーン店など、地域によっては様々なジビエ商品が流通しています。

安心できる購入先は、こちらになります。

◎各自治体ガイドラインを守っているの鳥獣加工施設

目印にして欲しいのは国産ジビエ認証HACCPの認証マークです。

肉にきちんとその肉の情報や地元の鳥獣加工施設名が書かれているかなど確認して購入しましょう。

△狩猟肉販売サイト

ジビエを販売するサイトなども多くあります。中でも猟師直送などの表記は危険です。

必ず、食肉処理業の許可を受けた施設や食肉製品製造業などの営業許可を受けた施設解体処理されたものかどうか確認して購入するようにしましょう。

「闇肉」と批判されるようになったのは近年

近年、猟師が獲った肉の流通がグレーゾーンからNGになってきました。

ジビエの流通が広がる中でルールがうまれ、文化として見過ごされていた部分もありましたが、お店で不特定多数の人が食べるという販売の部分では、明確にダメと言われてしまいました。

ただ、リスクをさけ、多くの人にジビエを美味しいと知ってもらうためにも、必要な流れなのかもしれません。

めんどうくさくなったと思う方もいるとは思いますが、現場を知っている人なら、尚更その重要性もわかるはずです。

安心の指標!野生鳥獣肉の衛生管理ガイドライン

猟師は、年数を重ねると猟師のプロにはなるかもしれませんが、食肉のプロではありません

だから販売までしたいのであれば、現在でているガイドラインを学び、指定された鳥獣加工施設で捌けるよう、食肉処理業の許可を取得する必要があります。

「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針」がでており、重視されているのは以下のような項目です。

  • 肉や内臓の色や臭いに異常があるものは即廃棄
  • 必ず加熱調理を行い、生食での提供はしない
  • 調理器具は83℃以上のお湯か次亜塩素酸ナトリウム等で消毒する
  • 他の食材の調理器具とジビエを扱う調理器具は分けて利用
  • 保存時は10℃以下(凍結したものは-15℃以下)で保存する
  • 情報を明記して販売すること

イノシシや鹿をどうさばいているか想像できない人たちには当然の事かもしれません。

ガイドラインには、狩りを仕手からの運搬時間やルールがもっと細かく制定されているところもあります。

文化としての「獲って食べる」の良し悪し

筆者は、30年以上猟師である父が獲って捌いたイノシシや鹿の肉を食べています。

解体現場も見ているし、猟についていったこともあり、肉を食べること以上のことをジビエを通して学んできました。

猟師である父の肉は美味しいです。

でも、その肉を誰か知らない人が食べ、食中毒になったりすることを考えると怖くなります。

猟師が猟を楽しみ、家族とおいしくお肉を頂くことは、は「狩猟文化」として残っていくことでしょう。

ですが、それと「ジビエを食べたい人が安心して食べられる肉」は別ものです。


国の定めたルールにより、ジビエの流通が今以上に盛んになり、美味しいジビエが気軽に食べられるようになるためにも、きちんとルールを守っていきたいですね。

ABOUT ME
さかもとみき
猟師の父を持ち、主に猪肉で育った野生児系ライター。