近年人気を集めているジビエですが、実はペットフードとしても認知が高まりつつあります。
- 「シカ肉ジャーキー」
- 「冷凍ミンチ」
- 「イノシシ生肉」
- 「シカあばらジャーキー」
- ・・・・
などなどラインナップも豊富です。
実家が猟師で、猟犬を飼っている我が家も、イノシシの堅い肉や、あまった骨付き肉を煮たものなどを犬に与えることもあったので、「なるほど、そういうビジネスがあるのか!」と目からうろこでした。
ジビエはほかの肉に比べ、カロリーが低いもの(野生のシカ肉など)があり、ペットのダイエット食としてもニーズがあります。
今回は、そんなジビエ肉のペットフード製造でビジネスをはじめるために大事なことをまとめました。
ジビエの肉をペットフードに再利用してビジネスにする方法
実は、ペットフードだからといってジビエを簡単に販売できるわけではありません。
参入するには、きちんと届け出が必要で、製造の基準を満たし、製造内容の開示や販売経路などを明確にしたうえで、立ち入り検査もあります。
とはいえ、人の食肉よりも審査のハードルは低いそうですし、ジビエの有効活用として、ペットフードはとっても伸びしろがありそうですよね。
ペットフードに関する手続きやルールは法律により決まっている
実際ジビエ肉のペットフードを販売するためには、様々なルールや手続きが必要となります。
まず、届け出をだし、決められた項目に関して帳簿をつけます。
提出するだけでなく、製造、販売元への立ち入り検査もあります。
というのも、2007年3月にアメリカでメラミンの混入したペットフードを食べた多数の犬と猫が健康被害訴える事件が起こりました。
実は、それと同じ製品が日本にも輸入されており、回収騒ぎがあったのです。そこから、ペットフ ードの安全性に関して注目が集まり一気に法整備がすすみました。
ペットの健康を保護するための「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」は2009年6月1日から施行され、ペットフードにも明確なルールができたのです。
ペットフード製造許可のとり方
現在、ペットフードに関しては、製造・輸入・販売に関して、国(農林水産大臣及び環境大臣)がきちんとルールを決めています。
ペットフードを販売するには、きちんとルールにのっとり製造、販売し、最悪の事態が起こった時に、
- 原因を明確にする
- すみやかに回収する
ための準備が必要なのです。
具体的には
①氏名、事業所の名称等の届出を義務化
②販売等をした ペットフードの名称、数量等を帳簿に記載することを義務化
③報告徴収、立入検査等 国と(独)農林水産消費安全技術センター(FAMIC)の報告徴収及び立入検査等を実施
をする必要があります。
必要書類
まずは必要書類を事業を行う都道府県にある「地方農政局等」へ提出する必要があります。
届け出が必要なのは、原材料を加工し、容器に入れる作業をしている 業者です。原料のみ製造では、届け出は不要です。
ペットフードの製造と輸入の両方を行う場合は、製造業者の届出と輸入業者の届出がそれぞれ必要となります。
届け出はマニュアルがあります。その中で必要な書類の定型Word文章に、必要事項を記入&捺印し、送付状と一緒に提出します。
廃止したり、継承したり、記載の住所が登記簿等の住所と異なる場合にも、それぞれの書類が必要となるので速やかに提出しましょう。
製造管理に関して
届け出をし、所在を明確にした上で、製造に関してもできるだけ明確にクリアにする必要があります。
万が一、ペットに健康被害が出た場合、原因を明確にし、対策する必要があるからです。
特にジビエは、弾等の異物混入防止のため、金属探知機を通した原料を利用するなど、一般の材料よりも気を付けるべき点もあります。
利用できる原料
ペットフードの成分規格は、農薬・汚染物質・添加物に関して規定値が決まっています。
ペットフードを製造する際は、「ペットフード安全法のあらまし」を参考に、扱うペットフードの基準値をきちんと確認しておきましょう。
たとえば、除草剤「グリホサート」を一般で検査するには農民連食品分析センターで24,000円かかります。
ペットの体内に入る食材になるので、きちんと証明できる数値かどうかを明確にし、基準値を超えないように取り扱いましょう。
添加物の使用に関して
添加物は、ペットフードが空気に触れて劣化するのを防ぐためなどに使用します。
しかし、その数値もきちんと定められているので、基準値を超えないように注意が必要です。
また、添加物の中でも、プロピレングリコールは猫用ペットフードに用いてはいけません。
品質管理や製造に関しては、「製造管理・品質管理方法等チェックリスト」の使い方も参考にして下さい。
また、具体的な製造方法は「ペットフードの適正製造マニュアル」を元にすすめましょう。
異常の発生要因や、防止措置もかかれています。
基準値違反・届け出の虚偽掲載・立ち入り検査拒否・帳簿のごまかしは罰則や罰金に!
これらはペットフードにより動物に健康被害が出ないように作られた法律を守るための規定です。
当然、破ると罰則が与えられます。
30万円以下の罰金(法人の場合は一億円)または1年以下の懲役など、決して軽くはありません。
また、悪質で何度も規定違反を繰り返す場合は報道発表を行う事もあるようです。
販売するペットフードには明確で正しい表記を
ペットフード販売に関して、現在5の表記が義務化されています。
- 犬用か猫用か分かる名称
- 賞味期限
- 原材料名
- 原産国名
- 事業者名と住所
は「ペットフード安全法」に基づき、表示する必要があります。
また、
- 用途
- 与え方
- 内容量
- 成分
も「ペットフードの表示に関する公正競争規約」により表示されています。
販売を行う際は、これらの表記をきちんと明記するようにしましょう。
ジビエの再利用方法としてペットフード利用は増えそう
食肉加工処理場などが増加し、ジビエ肉を利用できる環境が一気にすすみました。
しかし、猟という特殊な環境下で得られる肉は、味や質にムラがあり、人が食べるには適さない肉(匂いの強い肉、血の塊があるもの)もあります。
それらを有効に活用できるひとつの方法が、ペットフードになるのではないでしょうか。
ジビエをペットフードに活用している業者は現在とても増えていますが、まだまだ伸びしろのある事業だと思います。
参入する場合はきちんと法律を守り、安全性を約束して、ジビエペットフードを流通し、ジビエの利用率をあげていきましょう!