こんにちは!
最近マーケティングを勉強している、ライターのあかりんご(@akaringo252588)です!
皆さん、豚コレラという言葉を聞いたことはありますか?
初めて豚コレラが発生したのは2019年の9月。
26年ぶりに感染が確認され、現在に至るまで感染地域は拡大してきました。
今後も厳しい状況が続くと考えられており、今や豚コレラは知っておくべき伝染病です。
そこで今回は、大ニュースとなったCSF(豚コレラ)について紹介していきたいと思います。
豚コレラウイルスって何?
では豚コレラ(以下、CFSと表記)の基本的な情報を見ていきましょう。
- フラビウイルス科
- 豚やイノシシに感染
- 熱を伴う病気
- CSFはClassical swine feverの略
ウイルスは感染豚の唾液や涙、糞尿中に含まれます。
このようにCSFは強い伝染力と高い致死率が特徴で、家畜伝染病予防法において家畜伝染病に指定されています。
今まで日本では1887年に初めてCSFが確認され、1969年にワクチンが開発されたために発生件数が激減しました。
そして1992年を最後に感染は途絶えましたが、近年再びCSFの感染が確認されたのです。
アフリカ豚コレラ(ASF)とは違うの?
CSFの他にアフリカ豚コレラ(ASF)という病気もあります。
CSFと症状は似ていますが、原因となるウイルスが異なりASFはアルファウイルス科アルファウイルス属です。
現在日本ではASFの感染は確認されていませんが、ロシアやアジア各国での発生が確認されています。
有効なワクチンが開発されていないことからも、ASFの侵入には警戒が必要な状態です。
こういった危機感から豚肉製品を海外から違法に持ち込んだ場合の罰金を3倍に引き上げる改正家畜伝染病予防法が成立しました。
コレラってコロナと似てるけど、人に感染しないの!?
CSFは豚やイノシシに感染する病気で、人に感染することはありません。
また、豚が豚肉に加工されると畜場では、と畜場法に基づいて獣医師が異常や疾病を検査しています。
と畜場でCSFと診断された豚の肉や内臓は検査に不合格となります。
このように、CSFに感染した豚肉は市場に入らないよう徹底されています。
【豆知識】ウイルスの感染方法
ウイルスはどのように動物に感染するのでしょうか?
そしてなぜ人間には感染せず、豚やイノシシには感染するのでしょうか?
これらを、ウイルスの感染メカニズムから説明します。
ウイルスの増殖はまず細胞の表面にウイルスが吸着することが必要です。
イノシシと豚はCSFウイルスが吸着できるタンパク質がありますが、人間には存在しないため人間には感染しないのです。
吸着して動物細胞に取り込まれたウイルスの中には、ウイルスのタンパク質を作るための設計図が入っています。
その設計図をもとに動物細胞がタンパク質などを複製し、ウイルスをたくさん作り出すのです。
そうして増殖したウイルスはしばらくするとその細胞から出ていき他の細胞に吸着して増殖を繰り返します。
こうしてウイルスに感染し、CSFを発症するのです。
豚コレラウイルスの現状
CSFは令和元年10月時点で岐阜県、愛知県、三重県、福井県、埼玉県、そして長野県で発生しています。
これまで14.4万頭を殺処分してきました。
なぜ殺処分?ワクチンはないの?
CSFのワクチンは存在しますが、CSFの防疫措置としては殺処分という対処法が一般的です。
これには2つ理由があります。
1つ目に、コスト面の負担が大きいことです。
ワクチンの値段に加えて一頭一頭に処置をすることは養豚農家にかかるコスト面の負担が大きいことになります。
2つ目に、ワクチンを打つと陽性反応の見分けが難しくなるからという理由です。
ワクチンを打った後は豚コレラの軽い症状が見られることがあります。
(この理由については後で説明します!)
それがワクチンによるものなのか、豚コレラに感染しているのかが分かりにくいのです。
感染拡大の視点から考えるとどの豚が感染しているのかは把握する必要があります。
よって予防的なワクチン接種は、原則として行わないのが一般的です。
イノシシ、そして豚にもワクチン接種始まる
CSFの発生以降、豚に対しては衛生管理の徹底や早期出荷促進などを行ってきました。
しかし感染が急激に拡大したことを受けて豚にもCSFのワクチンを投与することになります。
これは衛生管理の向上を図っても豚への感染リスクが高い地域において、豚を対象にワクチンを接種しCSFの感染を予防するというものです。
野生のイノシシに対する対策に関しては、防護策の設置や捕獲強化、経口ワクチンの散布などが行われています。
ここで経口ワクチンとは、口から接種するワクチンのことです。
外側はトウモロコシやミルクパウダー、内側は液状のワクチンが入っています。
何だか…美味しそう…あれ?私だけ?
これは重点的にワクチンを散布することで野生イノシシに抗体を付与することが目的です。
地面に埋め込むようにして散布してワクチンのベルトを作り、イノシシの移動によって感染が拡大するのを防ぐ目的があるのです。
経口ワクチンは2019年の3月から散布が開始され、抗体付与の状況を調査中です。
【ジビエ】イノシシ肉は流通禁止、大きな打撃
環境省の方針によると、CSF感染確認区域内で捕獲したイノシシの肉利用は原則自家消費のみとされています。
自家消費にも様々な留意事項があり、消毒や処理を徹底するという項目をクリアすることが求められています。
ジビエブームの中、CSFの感染が確認された半径10キロ圏内ではジビエの販売・飲食業が滞り大きな打撃を受けています。
イノシシの捕獲頭数が減った上に、食肉に加工する処理が止まった状態であるからです。
豆知識 ワクチンとは何なのか?
CSFワクチンは、ワクチンの中でも生ワクチンと言われます。
生が付くと何でも美味しそうに見えますが、ここでいう生は生きているという意味です。
つまりワクチンに含まれるウイルスは生きているけれど弱った状態なのです。
これを接種すると、その病気にかかった状態とほとんど同じ免疫力がつきます。
しかし免疫がつくまでの数週間はウイルスが体内で増えるためその病気の症状が出ることがあるのです。
解決には2つのアプローチが必要
- CSFはイノシシや豚にしかかからない。
- 感染した養豚場は殺処分が基本だが例外的にワクチン使用。
- イノシシに対する経口ワクチン散布が開始。
家畜と野生動物はよく対比されることが多いですが、実は真逆の存在ではなく密接に関係していることが分かります。
畜産を守るためには、家畜と野生動物の両方のアプローチが必要ということです。
早く事態が収束することを願うばかりです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!